東洋医学の問診について
鍼灸治療をすでに受けた方はすでに経験されているかもしれませんが、鍼灸院などで治療を受ける際に自分の症状とは全然関係ないことを聞かれることがあります。例えば、睡眠や食事、排せつについて聞くことが多いです。
なぜ、そのようなことを聞くのかと疑問をもたれる人も多いですが、東洋医学では治療をしていくうえで非常に重要な要素となるために、お聞きするようにしています。
東洋医学では患者さんの症状の出現には生活習慣や生活、環境などの内的要因や外的要因が大きく関与していると考えるため、西洋医学の問診に加えて少し深く聴いていきます。
例えば肩こりの方が来院した際、「これは僧帽筋が硬くなっていて、血行不良を起こして肩こりが原因ですね」というのが、西洋医学の診立てとなりますが、東洋医学ではその他の問診で食欲不振がないか体の重怠さがないか聴き、「もちろん、僧帽筋の緊張が原因ですが、東洋医学的にはその背景として脾虚とって消化器系の弱りがあり、その症状の一つとして肩こりがでています」というふうに東洋医学敵に診断します。
鍼灸治療ではあまり、風邪の方は来院されませんが、例えば風邪をひいたときに悪寒発熱となったとします。これは風寒の邪が体の中に入った状態です。それを治すために体が熱を持って排除しようと戦っている状態です。まだ、体の抵抗力が強いために正気と邪気とが激しく戦っている状態です。高い熱は出ますが、抵抗力が強いために比較的短期間で治癒するものの特徴です。
逆に高熱が出なくても、体の中の抵抗力が弱い場合は微熱が常に続いてなかなか治らないといった状態となります。
他にはもともと陽虚体質といって体を温める働きの弱い人は寒がりますし、隠虚体質といって体に熱を持ちやすく、ほてりやすいといった体質の人もいます。
汗のかきかたで特に特徴的なものは自汗と盗汗です。
自汗とはじっとしていても、じわじわ汗をかく状態です。体の中のエネルギーが不足する気虚や陽虚の際に自汗がするようになります。
盗汗とは寝汗のことです。体のなかの陰液(水分など体を冷やす働きのあるもの)が不足する陰虚という状態で起こります。
とくに食欲は今後の治療経過を予測するうえでは重要です。気の源となるのは飲食物から得られる水穀の精微というエネルギーですから、飲食物が取れなくて、痩せていくというのは予後があまりよくないことが考えられます。
食欲不振が起こるときは、脾胃の気が虚弱したり、ストレスなどで脾の運化が滞るとおこります。
逆に食欲の亢進は胃に熱が生じると消化機能が亢進し起こります。
飲食で問診することは食欲のほかには味覚があります。
五臓にはそれぞれ、肝⇒酸、心⇒苦、脾⇒甘、肺⇒辛、腎⇒鹹というふうに味覚が関連しています。たといば脾の異常があると甘いものをやたらと食べたくなるなど、ある特定の味の食べ物が無性に食べたくなる場合は特定の五臓の異常が考えられます。
痰飲といって、体の中に水分が過剰にたまってしまった場合は、水を飲みたいと思って飲んでも、すぐに吐き出してしまいます。
下痢は脾の異常によって津液の運化がうまくいかないことによって起きるとされています。早朝に起こる下痢は鶏鳴下痢といって腎の異常によって起こるとされています。
便秘は大便秘結といいます。脾胃や大腸を持ったり、気虚などによっておこります。
小便の異常は腎や膀胱の異常によっておこります。
また、痛みの性質によって体の異常を知る手掛かりとなります。
⇒痛みについて詳しくはこちら
不眠には入眠障害と熟眠障害があります。
心に変調が起こると、精神・思惟活動に変調が出て不眠が起こります。主なものとしては心脾両虚によっておこる心悸・健忘を伴う不眠、腎陰虚んいよって心煩・多夢を伴う不眠などがあります。
嗜眠はひどい眠気によっていつの間にか寝てしまうことを言います。極度の陽虚や痰湿などの時に見られます。
⇒睡眠障害について詳しくはこちら
またパソコンなど、目を使いすぎても肝血を消耗し、肝の働きを悪くします。肝血の異常が肩に影響し、肩こりにつながることもあります。
東洋医学的な問診は非常に多岐にわたるため、ひとつづつ問診していると患者さんも疲れますし、問診で聞き忘れてしまったということもあります。当院では問診票の項目に丸を付けていただくことで、あまり患者さんの負担にならず、聞き忘れず、確実に状態把握できるよう工夫しています。
なぜ、そのようなことを聞くのかと疑問をもたれる人も多いですが、東洋医学では治療をしていくうえで非常に重要な要素となるために、お聞きするようにしています。
西洋医学の問診のしかたと東洋医学の問診の違いは?
西洋医学の問診では、まず患者さんの一番困っている症状を聴き、その発病の時期、原因、経過、既往歴などを聴きます。またそのほかに気になる症状がないかを質問します。こうして他の検査結果などと合わせて病気の原因を判断し、診断をたてます。東洋医学では患者さんの症状の出現には生活習慣や生活、環境などの内的要因や外的要因が大きく関与していると考えるため、西洋医学の問診に加えて少し深く聴いていきます。
例えば肩こりの方が来院した際、「これは僧帽筋が硬くなっていて、血行不良を起こして肩こりが原因ですね」というのが、西洋医学の診立てとなりますが、東洋医学ではその他の問診で食欲不振がないか体の重怠さがないか聴き、「もちろん、僧帽筋の緊張が原因ですが、東洋医学的にはその背景として脾虚とって消化器系の弱りがあり、その症状の一つとして肩こりがでています」というふうに東洋医学敵に診断します。
東洋医学の問診で聴くことは?
東洋医学の問診で聴かれるのは次のようなことです。- 寒熱
- 汗
- 飲食
- 口渇
- 二便
- 痛み
- 月経
- 睡眠
- 過労
寒熱
寒熱は非常に重要な要素となります。鍼灸治療ではあまり、風邪の方は来院されませんが、例えば風邪をひいたときに悪寒発熱となったとします。これは風寒の邪が体の中に入った状態です。それを治すために体が熱を持って排除しようと戦っている状態です。まだ、体の抵抗力が強いために正気と邪気とが激しく戦っている状態です。高い熱は出ますが、抵抗力が強いために比較的短期間で治癒するものの特徴です。
逆に高熱が出なくても、体の中の抵抗力が弱い場合は微熱が常に続いてなかなか治らないといった状態となります。
他にはもともと陽虚体質といって体を温める働きの弱い人は寒がりますし、隠虚体質といって体に熱を持ちやすく、ほてりやすいといった体質の人もいます。
汗
汗も重要な要素となります。汗のかきかたで特に特徴的なものは自汗と盗汗です。
自汗とはじっとしていても、じわじわ汗をかく状態です。体の中のエネルギーが不足する気虚や陽虚の際に自汗がするようになります。
盗汗とは寝汗のことです。体のなかの陰液(水分など体を冷やす働きのあるもの)が不足する陰虚という状態で起こります。
飲食
飲食も非常に重要な要素です。とくに食欲は今後の治療経過を予測するうえでは重要です。気の源となるのは飲食物から得られる水穀の精微というエネルギーですから、飲食物が取れなくて、痩せていくというのは予後があまりよくないことが考えられます。
食欲不振が起こるときは、脾胃の気が虚弱したり、ストレスなどで脾の運化が滞るとおこります。
逆に食欲の亢進は胃に熱が生じると消化機能が亢進し起こります。
飲食で問診することは食欲のほかには味覚があります。
五臓にはそれぞれ、肝⇒酸、心⇒苦、脾⇒甘、肺⇒辛、腎⇒鹹というふうに味覚が関連しています。たといば脾の異常があると甘いものをやたらと食べたくなるなど、ある特定の味の食べ物が無性に食べたくなる場合は特定の五臓の異常が考えられます。
口渇
口渇の有無は体の中の水分である津液の状態を反映します。一般的には口渇のない状態では津液を損傷していませんが、体の中に熱を持ち、津液が不足すると口が乾きます。痰飲といって、体の中に水分が過剰にたまってしまった場合は、水を飲みたいと思って飲んでも、すぐに吐き出してしまいます。
二便
二便の異常は主に脾と腎の関連が深いとされています。下痢は脾の異常によって津液の運化がうまくいかないことによって起きるとされています。早朝に起こる下痢は鶏鳴下痢といって腎の異常によって起こるとされています。
便秘は大便秘結といいます。脾胃や大腸を持ったり、気虚などによっておこります。
小便の異常は腎や膀胱の異常によっておこります。
痛み
体の各部位は、すべて特定の臓腑経絡と連絡しているので、痛みの部位を特定することは、異常の起きている臓腑経絡を知る手掛かりとなります。また、痛みの性質によって体の異常を知る手掛かりとなります。
⇒痛みについて詳しくはこちら
月経
生理周期や月経の量、生理の期間などを問診します。気や血・五臓でいうと腎が関与しているため、月経の異常を聞くことで、これらの異常を推測します。睡眠
睡眠の異常には、不眠と嗜眠とがあります。不眠には入眠障害と熟眠障害があります。
心に変調が起こると、精神・思惟活動に変調が出て不眠が起こります。主なものとしては心脾両虚によっておこる心悸・健忘を伴う不眠、腎陰虚んいよって心煩・多夢を伴う不眠などがあります。
嗜眠はひどい眠気によっていつの間にか寝てしまうことを言います。極度の陽虚や痰湿などの時に見られます。
⇒睡眠障害について詳しくはこちら
過労
程よい運動は臓腑の働きを高めますが、運動のし過ぎ、労働のし過ぎは過労となり、臓腑の機能を損なわせます。運動をしすぎると気と血を消耗するので筋疲労を起こし肝の働きを悪くします。またパソコンなど、目を使いすぎても肝血を消耗し、肝の働きを悪くします。肝血の異常が肩に影響し、肩こりにつながることもあります。
東洋医学的な問診は非常に多岐にわたるため、ひとつづつ問診していると患者さんも疲れますし、問診で聞き忘れてしまったということもあります。当院では問診票の項目に丸を付けていただくことで、あまり患者さんの負担にならず、聞き忘れず、確実に状態把握できるよう工夫しています。
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