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鍼ってなに?
鍼治療の起源は「砭石」といって、石を楔型に加工して作られた石器です。砭石は皮膚や筋肉を刺したり、押したりして用いられました。また、外科的に膿の切開や腫瘍の切開、瀉血などに用いられました。古代の人は痛む部位をもんだり、たたいたり、押したり、骨を加工した棘のようなもので刺すと体が楽になることを体験的に知っていったようです。
昔はこんなにあった鍼の種類!
紀元前770年から221年中国で春秋・戦国時代から漢時代にかけて金属加工技術が発展し、それに伴い、精巧な医療器具が発明されました。中国の古い医学書「黄帝内経」には9種類の鍼が記載されています。これを九鍼といいます。
古代にすでにこんなにも多くの種類の鍼が存在したことに驚かされます。
九鍼はザン鍼・圓信(えんしん)・テイ鍼・鋒鍼(ほうしん)・鈹鍼(ひしん)・圓利鍼(えんりしん)・毫鍼(ごうしん)・長鍼(ちょうしん)・大鍼(だいしん)の9つがありました。
この9つの鍼はそれぞれ、働きが違います。大きく3つに分けることができます。
- 皮膚をなでたり、擦ったり、皮膚や筋肉に圧を加える目的⇒ザン鍼・圓鍼・テイ鍼
- 皮膚を切開し、膿や血を出す目的⇒鋒鍼(ほうしん)・鈹鍼(ひしん)
- 皮膚や筋肉に深く刺すことを目的⇒圓利鍼(えんりしん)・毫鍼(ごうしん)・長鍼(ちょうしん)・大鍼(だいしん)
現在用いられている鍼の種類
現在使用されている鍼の多くは九鍼をもとに発展したものです。現在でも形を変えて存在するのが小児鍼・ザン鍼・テイ鍼・毫鍼(ごうしん)です。
小児鍼は、ザン鍼、テイ鍼は古代九鍼と同様皮膚をなでたり、擦ったり、圧したりすることで、気の流れを良くしたり、皮下血流を上げることを目的として用いられることが多いです。
今日の鍼灸治療で最もよく使用されているのは「毫鍼(ごうしん)」です。これは体内に刺入し、皮下組織や筋肉に刺激を入れることを目的としています。一般的に広く知られている鍼はこの毫鍼(ごうしん)のことをいいます。
鍼の材質は?
現在で使われている毫鍼の材質は主にはステンレスと銀です。ステンレスは適度な硬度、弾性があり、錆に強く、通電(鍼に電気を流すこと)による折鍼も少ないことから現在ではほとんど場合ステンレス鍼を用います。
銀鍼はステンレス鍼より柔らかくソフトな刺激感覚を発現させやすいといわれていますが、柔らかいため鍼を刺す際に比較的高度な技術が要求されます。
当院では現在ステンレス鍼を用いています。
鍼治療で使う鍼は注射と違って痛くありません
慣れている人にとってはどうってことはない鍼治療ですが、一度も鍼治療を受けていない人にとっては鍼治療は痛いのではないかという先入観を持たれていることが多いです。人の体に鍼を入れるのですから、痛いんじゃないのと思うのは当然のことかと思います。
しかし、実際に鍼を刺してもらうとわかりますが、イメージしているより全然痛くありません。
鍼が痛くないのには理由があります。それは鍼の先端の形です。
注射針は皮膚を切るように刺していきます。そのため、針が刺さる際に皮膚が切れ痛みが起こります。もちろん出血を伴います。
鍼治療で使う鍼は先端が松の葉の先のような松葉型をしています。または卵型をしています。松葉型や卵型などの滑らかな円錐形をした先端だと、鍼が刺さる際に皮膚を切るのではなく、組織の隙間を縫うように入っていくために痛みがほとんど起こりませんし、毛細血管を刺さない限り、出血も起こしません。
そのほか鍼が痛くないように鍼管を使ったり、とても細い鍼などを使ったり患者さんに負担のない施術ができるように、発展を遂げてきたといえるでしょう。
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