脈診について
当院では患者様の体の状態を診させていただく際に脈診を用います。
脈診というのは切診の一つです。西洋医学では脈診では脈拍が早いか遅いかを診ます。これは1分間に何回の拍動を打っているかを確認します。
鍼灸治療や東洋医学における脈診はもう少し多くの情報を観察します。具体的には脈拍の数や脈拍の拍動の状態、強弱など脈の性状を診て、臓腑・経絡の異常を診断するものです。
脈診には脈状診と脈差診があります。
脈状診は手首の橈骨動脈の拍動を診ます。手首に近いところから寸口・関上・尺中というふうに呼ばれています。脈状診では脈の状態によって病因を推察したり、寒熱、予後、病の状態などを判定します。
健康な人の脈は平脈と呼ばれ、一呼吸で4から5回の脈を打ちます。脈の状態としては固くも柔らかくもなく、太くも細くもなく、浮いても沈んでもいない脈を打っているものをいいます。
脈の状態は個人差がみられます。太い脈や細い脈や速い、激しく打つ脈など様々ありますが、そのうち方によって体の状態を判断することができます。
どんな脈の状態があるの?
東洋医学では脈を診るときには浮沈・遅早・虚実をみるといわれています。これが基本です。そのほかコロコロした脈や指に引っかかるような脈、なっているギターの弦を触ったような脈などがあります。
浮脈
軽く抑えると拍動が指に軽く感じられ、深く押していく感じ方は弱くなるが空虚ではない脈です。表証、虚証など病気が浅くあまりひどくない場合の脈です。
沈脈
軽く抑えても感じられず、深く押すことで感じられる脈です。裏証、病気が長期化することで見られます。
遅脈
一呼吸に3拍以下の脈です。体の冷えを表します。
数脈
一呼吸に6拍以上の脈です。体の中に熱があることを表します。
虚脈
脈が細く、はっきりと触れず力のない脈です。虚証をあらわします。
実脈
はっきりと力強く打つ脈です。実証をあらわします。
滑脈
脈の流れが滑らかで、指先にコロコロと触れるような脈です。痰飲や食滞、湿証、妊娠時にみられます。
濇脈(しょくみゃく)
ざらざらとしていて、渋滞しているような脈です。血瘀などをあらわします。
弦脈
弾力があり、琴の弦を触れるような脈です。肝実などストレスが強い時に現れます。
これらの他にも緊脈・濡脈・細脈・結脈・代脈などがあります。これらの脈を見分けることにより体の状態を把握する材料とします。
脈差では左右の手の寸口・関上・尺中の脈のうち方を比較することでどこの臓腑経絡に異常があるのかを判断していきます。
脈診は非常に難しく訓練が必要となりますが、体の状態を知るために非常に重要なものとなるので当院では積極的に取り入れて行っています。