汗の異常

汗は運動した時や、熱が出たときなどに出ます。

皮膚には温受容器といって熱を感知するセンサーが分布しています。熱を検知するとその刺激は脳の視床下部というところに伝わります。

すると脳の視床下部から指令が出て、自律神経の交感神経を通じて汗腺に働きかけて発汗が起こります。

発汗すると汗が蒸発する際に体の熱を奪います。この働きによって体の熱を下げようとするのです。

脳の視床下部と交感神経が発汗に大きな関りを持っています。

運動以外でも、精神的に緊張した際に手や足、頭に汗をかくことがあります。これは精神的な緊張によって自律神経の交感神経が興奮し発汗する精神性発汗といいます。

発汗は本来であれば、運動をしたり、熱が出たときに体の熱を冷ますために出るものですが、慢性的に疲労感があったり精神的なストレスを感じていると自律神経が乱れることで汗が通常よりも出てしまうことがあります。

東洋医学的に汗を考える

東洋医学では汗は心の液といわれていてます。体の中の津液(水分)が陽気によって蒸化し、それが体表に出てきたものが汗です。

汗の異常は風邪などの外感病や心身の異常で起こる内傷病などでみられます。

外感病はウイルス感染や細菌感染や暑熱などですのでここでは割愛し、内傷病で起こる汗について解説します。

自汗(じかん)

自汗とはじっとしていても汗をかくことをいいます。日頃から汗をかきやすく、少し動いただけ、または何もしていなくても汗をかくような状態をいいます。

これは体のエネルギーである気が不足する気虚によって起こるものです。

精神疲労や息切れや冷えなどの症状を伴うことが多いです。

盗汗(とうかん)

寝汗のことです。陰虚といって体の中の水分などが不足することで、体の中に熱が溜まることで、汗が出ます。

手足のほてりや不眠、顔面が熱い、のどの渇きなどの症状を伴いうことが多いです。

手足の汗

手のひらや足のうらにみられる少量の発汗は一般的には生理現象です。

しかし、発汗量が多く口の渇きや顔面が熱い、尿が黄色いなどといった症状を伴う場合は陰経に鬱熱が溜まっている場合にみられます。

汗が以上に出て病院で治療を受けている方もおられると思いますが、なかなか治療の効果がみられない場合は東洋医学的な観点で鍼灸や漢方などを試してみるのもいいかもしれません。