微熱が続く

微熱を体温計で確認している人ここ数日、からだがだるく熱っぽいので、体温を測ると少し37.2℃…少し高いが咳やのどの痛みがはないし、風邪ではなさそう…。微熱が続くので病院へ行くが、原因がわからない、または「疲れているのでしょう」といわれた方はこのページを参考にしていただければと思います。

体温はある程度の幅で一定に保たれている

体温は一般的には、脇の下で測る腋窩温のことをいいます。平熱は35℃から37℃高熱は38℃、そして37℃~38℃が微熱とされます。

体温にはかなりの個人差があり、平熱が低い方は37℃くらいでも熱があるように感じますし、常に体温が37℃くらいある方もいます。

体温は一日の中で、変動しています。起床時は一日の中で最低体温ですが、朝食をとると一気に上昇します。その後夕方まで緩やかに上昇し、夜になると下がっていきます。

女性の場合体温は女性ホルモン(プロゲステロン)に影響されます。排卵後は平熱より0.5℃程度高くなります。

体温調節は脳の視床下部というところでコントロールされています。

 

微熱の原因として考えられるもの

体温が高くなる理由として考えられるものは次の3つです。

  1. ウイルス・溶連菌などの細菌・マイコプラズマなどの感染
  2. 甲状腺機能亢進症・関節リウマチなどの基礎疾患
  3. ストレスによる熱産生

ウイルス・溶連菌などの細菌・マイコプラズマなどの感染

ウイルスや細菌などの外敵がヒトのからだに鍼灸すると防御機能が働きます。

血液の中の白血球が細菌やウイルス・それによって破壊した組織などを取り込むと、発熱物質(プラスたグランジンE2)を放出します。それが脳にある発熱中枢の前視床下部に働いて体温を上昇させます。

微熱などの症状にくわえ、咳やのどの痛み、腹痛、嘔吐、下痢などの症状がみられる場合は感染症が疑われるため、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

 

甲状腺機能亢進症・関節リウマチなどの基礎疾患

甲状腺機能亢進症や関節リウマチなどの基礎疾患を持っている場合は微熱が続くことがあります。

 

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は一般的にバセドウ病と呼ばれるもので、のどのところにある甲状腺から異常にホルモンが分泌されてしまう病気です。微熱の他に動悸・汗をかく・眼球突出・手足がふるえる・やせるなどの症状があらわれます。

 

関節リウマチ

関節リウマチは自己免疫疾患といって自分の体からだを自分で攻撃してしまう状態です。主に手足の関節が破壊され炎症を引き起こします。炎症とともに関節の変形も見られます。微熱の他に関節の痛みやこわばり・疲労感などの症状もあらわれます。

どちらの症状も医療機関でも治療を受ける必要がありますので、受診するようにしてください。

 

ストレスによる熱産生

ストレスによって体温が上がる状態です。とくに原因がないのにも拘わらず、微熱が続いている場合一番考えられるのはこれです。仕事が忙しい場合や対人関係などストレスが過剰にかかっている場合におこります。

この微熱の特徴は感染症などと違って、解熱剤が効かないことです。

 

ストレスによってなぜ体温が上がるのか?

原因不明な微熱が続くことで不安を持っている人もいらっしゃると思いますが、原因はストレス・交感神経・褐色脂肪細胞にあります。

ストレスによって交感神経が興奮すると褐色脂肪細胞が分解され、分解された脂肪酸から熱が産生されます。これによって体温が上昇します。

褐色脂肪細胞は脇の下、肩甲骨の間、血管などに多く分布します。もともと交感神経と褐色脂肪細胞による熱産生のメカニズムは寒さから身を守るためにある自律神経システムですが、ストレスによって必要のない時に熱を産生してしまうためにおこります。

 

微熱を東洋医学(漢方や鍼灸)ではどう考えるか?

ストレスや原因不明の微熱を東洋医学では陰虚や湿熱などの原因が考えられます。

 

陰虚はやせ形に多い

陰虚は体を潤し、栄養するための津液や血が不足している状態です。体を栄養することができなくなるので、痩せを伴っていることが多いです。慢性的に陰虚の体質の方もいますし、長い大病や失血をした場合に陰虚になる場合があります。

慢性病や老化また、精神的なストレスや慢性的に神経を使う作業を繰り返すことによって津液や血・陰気を損なうことによって内熱がからだに発生することでおこります。

 

陰虚の症状

はめまいや目のかすみ・動悸・不眠・寝汗・口の渇き・肌の乾燥・体の痩せなどがあらわれます。

 

湿熱はぽっちゃり

湿熱はからだの中に余分に水分が溜まっている状態で、さらに熱が加わると起こります。

主な原因としてはお酒や甘いもの、脂っこいものの過食によって脾胃の機能を失調して湿が溜まり、熱に転化することが考えられます。からだの中に余分な水分が停滞している状態となりますので、水太りのようにポチャッとした体質となることが多いです。

 

湿熱の症状

暑がりで汗かき・湿疹や吹き出物・むな苦しさや吐き気・むくみ・身体のだるさなどの症状があらわれます。

東洋医学では陰虚では滋陰、湿熱では利湿という治療法則に基づいて鍼や灸・漢方薬などでアプローチしていきます。