夜尿症 おねしょについて

夜尿症とは夜間睡眠中に無意識に尿が出る現象をいいます。一般的には4~5歳ころには排尿機構と睡眠機構の発達に伴って自然に消失します。

しかしながら5歳を過ぎても消失せず、依然として夜尿が生じる場合を夜尿症といいます。3~4歳で30%、5~12歳で10%の割合で夜尿がみられると報告されえています。

8歳を過ぎても夜尿が消失しない場合は積極的に治療を行うのが良いでしょう。

夜尿症の原因

夜尿症の原因のほとんどが器質的疾患のない夜尿症です(約80%)。膀胱に尿をためることが出来ない低容量膀胱、膀胱に尿が溜まっていても起きれない覚醒障害、抗利尿ホルモン分泌低下による夜間多尿がこれにあたります。

夜尿症の患者さんのうち18%は尿道リングや二分脊椎による膀胱機能悪障害などの先天奇形などの泌尿器科的な異常があるとされています。

昼間でも尿を漏らしてしまう場合には泌尿器科的な疾患があることが多いので、病院に受診するようにして下さい。

夜尿症の治療

夜尿症の治療には薬物療法、行動療法、膀胱訓練が行われます。

行動療法は条件付け療法といわれ、夜尿をして濡れると鳴るブザーを用いて覚醒させます。覚醒障害のある場合は効果があります。

膀胱訓練は排尿を我慢させ、膀胱容量の増大を図り夜尿を改善させます。

夜尿症に対する鍼灸治療

夜尿症の鍼灸治療は東洋医学的アプローチによって行われます。

夜尿は「遺尿」とも呼ばれます。夜尿の発症は、腎、膀胱の失調と直接関係しているとされています。原因としては次のものが挙げられます。

腎気虚

睡眠中に遺尿し、下が覚めてから気づきます。成長が未発達な子供に多くみられます。

排尿は比較的多量で、一晩に数回遺尿があります。

疲れやすい、知育の発達が遅い、四肢の冷え、足腰に力が入りにくいといった症状がみられます。

腎陽の不足により、膀胱は腎陽の温煦を受けられずに遺尿が起こります。

経穴
関元(かんげん)
中極(ちゅうきょく)
腎兪(じんゆ)
三陰交(さんいんこう)

などのツボを中心に鍼灸治療を行います。

脾肺気虚

睡眠中に遺尿します。排尿回数は多いですが、排尿量は多くありません。

息切れ、じっとしていても汗をかく、元気がない、食欲不振、おなかが張るなどといった症状がみられます。

脾の昇清機能が低下して津液が肺へ上昇せずに下陥し、さらに肺の機能が低下して水道機能が失調して夜尿が起こります。

経穴
列缺(れっけつ)
肺兪(はいゆ)
脾兪(ひゆ)
気海(きかい)
足三里(あしさんり)

などのツボを中心に鍼灸治療を行います。

湿熱

睡眠中に遺尿します。尿は黄色で匂いが強い、排尿量は少なく遺尿の回数も多くありません。

怒りっぽい、夜間に歯ぎしりをする、顔面紅潮どの症状が現れます。

脂っぽいものや甘いものの過食による飲食の不摂生によって湿熱が生じることで、膀胱に湿熱が下注することで遺尿が起こります。

経穴
中極(ちゅうきょく)
中髎(ちゅうりょう)
三陰交(さんいんこう)
陰陵泉(いんりょうせん)

などのツボを中心に鍼灸治療を行います。

おねしょの治療は焦らないで行っていくことが大事です。とくにおねしょを叱ってしまうと、子供に罪悪感を持たせたり、トラウマになることがありますので怒らないであげてください。

お子様のおねしょなどでお悩みの方はお気軽にご相談ください!!