歯の痛みについて
鍼灸治療による歯の痛みの適応は虫歯を除くものとなりますので、歯が痛い場合はまず虫歯がないか、歯医者さんで確認をしてください。
虫歯がない場合は鍼灸治療の適応となります。
東洋医学的にみる歯と臓腑の関係
歯と関係の深い臓腑は「胃」「腎」となります。
胃との関係
顔面には手陽明大腸経と足陽明胃経という経絡が走っています。上下の歯肉は大腸経と胃経が支配しているため、大腸経や胃経の経絡の変動が起こると歯肉の痛みとして現れます。
腎との関係
古典によると「腎は精を臓し、髄を生じ骨を養い、歯は骨の余りである」とあります。
よって老衰などにより腎気が衰えると歯の委縮などが起こり歯が脱落します。
東洋医学的な歯の痛みの病因
東洋医学では冷たい刺激や熱い刺激といった外部からの刺激、飲食の不摂生や生活習慣の悪化などから歯の痛みが出ると考えられています。
風寒外襲
風邪ひきや寒いところに長時間いることによって風寒の邪が頭や顔面に入り込み、足陽明胃経や手陽明大腸経に沿って歯に達したときに歯痛っとなります。
温かいものを飲んだりすると痛みが和らぎます。
外感風熱
熱性の風邪など外寒の風熱の邪が生体内に入り、陽明経の経脈を上昇することで痛みが起こります。
冷たいものを飲んだりすると痛みが和らぎます。
胃熱
食生活の不摂生で起こります。脂っこいものの食べすぎや、お酒の飲みすぎなどによって胃に熱が蓄積されることによって経絡に変動が起こり歯の痛みとなります。
歯茎がはれたり、赤く盛り上がります。口臭がきつかったり、便秘や乾いた便となります。
腎陰虚
老化や過労、房事過多によって腎陰が損傷することで起こります。とくに長期にわたる身体的疲労や精神的疲労、慢性疾患病ごに起こりやすくなります。
腎陰が損傷することで熱を抑制できず、陰虚火旺となり虚火が上行して歯痛が起こります。
歯痛の痛みはしくしく痛み、間欠的に痛みます。歯が浮いた感じやグラグラした感じになります。のどや舌の粘膜が乾燥した感じになります。
歯の痛みに対する鍼灸治療
歯痛の鍼灸治療は局所治療と遠隔治療を行います。
局所治療は上の歯が痛む場合は人中、下の歯が痛む場合は承漿、奥歯の痛みは頬車、下関に鍼をします。
遠隔治療では上の歯が痛む場合は内庭、下の歯が痛む場合は合谷に鍼をします。
また、患者さんの体質・病因に合わせたツボの選択をします。
風寒外襲…風門・大杼・風池
外寒風熱…大椎・曲池
胃熱…足三里
腎陰虚…復溜・経渠
その他、歯痛は肩こりによっても増強されるため、首・肩こりの強い部位に鍼灸治療を行います。
原因のわからない歯の痛み、歯肉の痛みでお悩みの方はお気軽にご相談下さい。