冷え症 レイノー病について
四肢末梢において動脈に動脈血がいかないことによって発症するしびれ、冷感、蒼白などの症状を総称してレイノー現象と呼びます。冷え症は診断名ではなくレイノーとなります。広辞苑では冷えやすい体質。血液の循環の良くない体。と記されています。
医学的には「冷え症」という定義は特にされていません。不定愁訴の一種とみなされていることもありますが、「冷え症」というだけでは病気の範疇には含まれません。
特に定義を下されなくても意味が通じ、社会通念としてその存在は位置づけられています。
レイノー病とは
発作性に四肢末梢に貧血をおこし、皮膚の蒼白やチアノーゼをきたし、冷感・疼痛を訴え、次いで回復すると逆に充血、発赤が起こる現象をレイノー症状またはレイノー現象といいます。
レイノー現象を起こすものには原因不明なものと、何等かな明らかな原因疾患に起因するものとがあります。
原因不明で冷感・蒼白・しびれなどのレイノー現象を認める場合をレイノー病または一次性レイノー現象と呼びます。逆に明らかな原因疾患(閉塞性動脈硬化症やバージャー病)によってレイノー現象を認める場合をレイノー症候群または二次性レイノー現象と呼びます。
レイノー病の原因ははっきりとは分かっていませんが、交感神経中枢の亢進説、末梢の動脈の強い収縮により症状が出現しているのではないかといわれています。
冷え症 レイノー病の治療
冷え症は温めると症状の緩解が得られるために、手足末端の保温が大事となります。また、全身を温めることも症状の改善につながります。できるだけ寒冷に暴露させないなどの、日常生活を送るうえでの注意が必要です。
また喫煙は、ニコチンによって血管収縮が起こるために、症状を悪化させますので、冷え症がきつい方は禁煙をする必要があります。
薬物治療も行われますが、決定的な薬物はありません。通常は、血管拡張剤・血小凝集抑制剤・カルシウム拮抗剤・プロスタグランジン製剤などが用いられます。
外科的には交感神経節切除術なども行われることがあります。またTENSなどの通電治療が用いられることもがります。
冷え症 レイノー病の鍼灸治療
冷え症の鍼灸治療は現代医学的アプローチと東洋医学的アプローチを組み合わせて行います。
現代医学的アプローチ
現代医学的には手足の末梢の血行を良くするために、手足のツボに鍼やお灸をします。
東洋医学的アプローチ
東洋医学的では冷えを「厥冷(けつれい)」といいます。
原因は気の温煦作用(体を温めて保温するはたらき)の失調にあるとされています。温煦作用の失調は陽気の不足または寒気や冷気などの外邪の侵襲を受けてしまった場合に起こります。
慢性的な冷え症は主には脾、腎との関連が深いとされています。
具体的な原因としては次のものが挙げられます。
腎陽虚
冷え症の他に元気がない、顔色が白い、水様便(明け方に多い)、顔のむくみ、めまい、耳鳴り、多尿、頻尿を伴います。
うまれつき虚弱体質であったり、過労、食生活の乱れ、房事過多などによって腎陽が不足し、熱が不足することで全身に症状が現れます。
経穴
太谿(たいけい)
復溜(ふくりゅう)
経渠(けいきょ)
関元(かんげん)
命門(めいもん)
などのツボを中心に鍼灸治療を行います。
脾陽虚
冷え症の他に、食欲不振、腹部の不快感、下痢、げっぷと症状がみられます。
飲食の不摂生や思慮過度(過度に思い悩む)によって、脾の機能が失調することで脾気虚になり、脾気虚の病態が進行することで脾陽虚へと発展します。
経穴
太白(たいはく)
太陵(たいりょう)
公孫(こうそん)
足三里(あしさんり)
気海(きかい)
脾兪(ひゆ)
などのツボを中心に鍼灸治療を行います。
冷えは万病の元といわれるように、冷えが進行することで、免疫力の低下、活動性の低下、代謝の低下など体の働きが鈍ることが多くなります。
たかが冷え症されど冷え症です。侮らずに早めに対処していきましょう!!