疲労感 慢性疲労症候群について
疲労感は、疲労を感じることです。日本人の6割が疲労感を感じているといわれています。具体的にはからだのだるさ、からだが重い、なんとなく疲れやすい、息切れがする、動悸がするなどの様々な症状があります。
また疲労とは、心身へのストレスが一定期間与えられた結果、本人が自覚するか否かにかかわらず、心身の活動性が一時的に低下した状態と考えられます。心身の活動性の低下は、活動の量、活動の質を低下させることにつながります。疲労感というのはからだを休めた方がいいという自分自身からのシグナルですから、体を休める必要があります。
ただ休めば、疲労は改善するかというと、病的状態に陥った疲労では休養だけでは回復するのは難しく、マッサージや鍼灸治療などで、疲労回復を促進するといったことが必要になります。
疲労の原因
疲労は身体的な疲労と精神的な疲労に分類されます。身体的疲労はさらに運動労作によるものと、内科的な疾患などの関連によるものかが考えられます。
疲労の原因には心身の過労を招くものすべてが含まれます。スポーツやレジャーなどでの過度な運動、長時間の労働、内科的な疾患、精神的な消耗、職場・家族・友人関係などでのストレス、神経症・うつ病などの精神疾患、自律神経失調症などが原因となります。
現在はパソコンを使用するときなど長時間の座った姿勢で、眼と首と腕を酷使し、脳を働かせ続ける作業が少なくありません。そのため疲労感を肩こりや首こり眼精疲労と訴えることも多いです。
疲労感に対する鍼灸治療
疲労感に対する鍼灸治療は西洋医学的アプローチと東洋医学的アプローチを用いて行います。
西洋医学的アプローチ
現代医学的には疲労するとその部に乳酸や老廃物などの疲労物質が停滞し、筋肉をはじめとして、心身の活動に支障をきたすと考えられます。したがってこの老廃物をスムーズに排除するように血液循環を改善して疲労物質を取り除くことを目的として鍼灸治療をおこないます。
筋肉の緊張やこり、だるさなどのある部位に鍼やお灸を行い、血行改善を図ります。背中や腰の張りが内臓由来であると考えられる場合には自律神経反射である体性ー自律神経反射を利用して内臓の機能を改善し全身状態を整えます。
東洋医学的アプローチ
東洋医学では疲労のことを労倦といいます。私たちのからだは五臓六腑がしっかりと働くことで、気・血・水をつくりだし、これらが体内をスムーズに循環することによって健康状態が保たれているといわれています。しかし過度な労働、長期にわたる疾病、飲食の不摂生、過度な感情の動きによって五臓六腑の働きに異常が生じ、気を虚損することで疲労感を感じます。
とりわけ、疲労感は脾臓と腎臓の関連が強く、原因としては次のようなものが考えられます。
気虚
多くは、臓腑の働きが悪くなったり、重病や久病などで元気が損傷して起こります。顔色が青白い、皮膚にはり艶がない、めまい、耳鳴り、心悸、疲労倦怠感、無気力、動くと汗をかきやすいなどの症状があらわれます。
脾虚
脾気の虚損によっておこります。思い悩みすぎたり、不安な状態が続いたり、食べ物をあまり食べなかったりすることでおこります。手足に力が入りにくく、食欲不振、食後におなかが張りやすい、めまい、倦怠感、顔が黄色っぽくなるなどの症状があらわれます。
腎虚
腎気の不足によっておこります。生まれつき虚弱体質だったり、過度の労働、房事過多などによっておこります。精神的な疲労・めまい・耳鳴・健忘・遺精などの症状があらわれます。
疲労感によく使うツボ
鍼灸治療には関元・気海・足三里・照海・三陰交・中脘・建里などのツボをよく用います。元気を補い、胃腸の働きを改善し、消化吸収などを改善させる働きがあります。消化吸収が良くなることで、気の生成がされやすくなり疲労感の軽減につながります。
疲労感は体からのシグナルです。疲労感を感じたら、無理をせずに休養をとるようにしましょう。休養をとっているのに症状が改善されない場合は自然治癒力が低下していますので、鍼灸治療で元の状態に戻すことをおすすめします。