起立性調節障害について
起立性調節障害とは、自律神経失調症の一つで立ちくらみ・頭痛・息切れ・腹痛・全身倦怠感などの身体の身体不調の症状がみられます。
思春期前後の小学校高学年から高校生の間に発症しやすい障害です。小中学生の2%、思春期の全体では5~10%が起立性調節障害といわれています。小中高を通じて女子に多いです。
夜寝つきが悪く、朝起きられず、午前中は調子が悪いということもあって、学校に行きたくないと訴えるこごが多く引きこもりや、不登校の主要因と考えられています。
起立性調節障害の要因は?
一般に起立性調節障害のお子さんは、交感神経と副交感神経の両方がともに亢進しています。また、過敏性の体質や異常体質の子供さんが多いとも言われており、さらに精神面の影響も大きいと指摘されています。
急激の身長の伸びや、月経の始まりなどの身体的変化、過食症や拒食症、夜更かしなどの精神的な変化なども症状の発症の要因と考えられています。
起立性調節障害の診断基準
次の症状のうち
①~⑤の項目で1つ以上と⑥~⑮の項目で3つ以上
または①~⑤の項目で2つ以上と⑥~⑮の項目で1つ以上
または①~⑤の項目で3つ以上
の場合に起立性調節障害と診断されます。
- 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
- 立っていると気持ちが悪くなる。ひどくなると倒れる
- 入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
- 少し動くと動悸あるいは息切れがする
- 朝の寝起きが悪く午前中調子が悪い
- 顔色が青白い
- 食欲不振
- 疝痛を時々訴える
- 倦怠感あるいは疲れやすい
- 頭痛をしばしば訴える
- 乗り物に酔いやすい
- 起立試験※で脈圧狭小16㎜Hg以上
- 起立試験で収縮期血圧が安静時より低下21㎜Hg異常
- 起立試験で脈拍数増加1分間に21回以上
- 起立試験で立位心電図TⅡの0.2mV以上の減高、その他の変化
起立性調節障害の現代医学的な治療
起立性調節障害の現代医学的治療では自律神経安定剤、自律神経調節剤、血圧安定剤などが投与されます。
起立性調節障害の東洋医学的にみると…
起立性調節障害を東洋医学的にみると気虚という状態になります。
気虚とは文字通り気が不足することで生じる病態です。
気の不足は次のような場合に起こります。
- 生まれつきに持っている先天の気が足りないために起こる(腎気の不足)
- 栄養を十分に摂取しないために気を作る材料が不足してしまったために起こる
- もともと胃腸の働きが弱いか、思い悩むことで脾を損傷することで気を作ることができない
- 下痢、慢性病、過労、睡眠不足などによって気を大量に消費する
これらの理由によって体の中の気が不足すると息切れ、精神的疲労感、頭のふらつき、目のくらみ、じっとしていても汗をかく、顔色に艶がなくなる、などの症状が起こります。
気虚に対する東洋医学的な治療は鍼灸治療や漢方が主に行われますが、その治療は補気といって気を補うようなツボを刺激したり、漢方を処方します。
家族のサポートについて
小学生から高校生この時期は子供の様子をしっかりと観察して急な身長の伸びや、過食や拒食、夜更かしなど細かな変化をしっかりと見極めて何が問題で、どのように解決すればよいのか親が子供の身になって考える必要があります。
子供に自分の考えや生活のリズム、生き方を押し付けてしまうことは避けると同時に、子供との距離を置きながらも親身な気遣いが必要となります。