関節リウマチについて

関節リウマチは骨、関節、筋、腱、靭帯などの運動器に疼痛症状を有する疾患群のことをいいます。多発性の非化膿性の関節炎を主症状とする原因不明の慢性全身性疾患です。

関節リウマチでは手足や足の小さな関節のこわばり感、あるいは肘・膝関節などの疼痛と主張が次第に現れその後、全身の関節を侵します。

発症当初は滑膜炎ですが、症状の増悪と軽快を繰り返しながら軟骨や骨が破壊され、進行すると手や足の指に特有の変形が起こり、日常動作に機能障害をきたします。

慢性化しやすい傾向にありますが鍼灸治療の臨床的な価値は高いとされ、効果が期待できます。

関節リウマチの原因

関節リウマチの原因は明らかではありませんが、遺伝・感染・性ホルモンのアンバランスに環境要因が加わり、自己免疫機構に異常が生じることにより起こると考えられています。自己免疫疾患といわれるように自分で自分のからだを破壊してしまうような状態です。

20代~50歳代で発症しやすく、男女比は1:4女性に多いです。これは女性の方が性ホルモンの変動がしやすいからではないかといわれています。

関節リウマチの経過

関節リウマチの症状の経過は3つのタイプに分かれます。

  1. 単周期型:一過性で治りやすいタイプ
  2. 多周期型:症状の増悪・緩解を繰り返すタイプ
  3. 進行性増悪型:症状の進行を続けるタイプ

臨床的には多周期型が一番多く、天候や季節の変化により症状も変化します。

慢性・進行性に経過するタイプでは療養期間が長くなりますが、初期症状から適切な治療を行うことで、症状が治まることが分かってきました。

関節では、初期は骨の周りにある滑膜が侵され、炎症を起こし、滑膜炎が進行・長期化することで、軟骨の破壊・骨の変形に至ります。

関節リウマチの症状

関節リウマチになると次のような症状がみられます。

  1. 朝のこわばり:関節リウマチの患者さんは起床時に関節がこわばることを訴えます。具体的には指をグーパーグーパーすることがしにくくなります。指を少し動かしているとこの症状は軽減もしくは消失します。
  2. 罹患部位:手の指関節(PIP関節・MP関節)、手関節、足の指関節など手足の末梢関節に症状が初めに起こることが多いです。稀に膝関節や肘関節や膝関節に初発することもあり、変形性関節症だと思って受診したら関節リウマチだったというケースもあります。関節リウマチの特徴の一つは両側性、左右対称性に発症します。
  3. 疼痛:多関節の自発痛(じっとしていても痛い)、運動痛を訴えます。また天候の影響を受けやすくなります。
  4. 腫脹:関節滑膜の増殖、関節包の肥厚がおこり、関節腫脹(関節の腫れ)を認めます。
  5. 関節不安定性:関節腫脹が持続すると関節包や関節包性靭帯が弛緩するため、あるいは関節の破壊の為に関節の不安定性(ぐらぐらする)を認めます。
  6. 関節可動域制限:最初は疼痛による筋緊張の為に関節運動が制限され、進行すると関節の破壊、軟部組織の拘縮のために運動制限を伴います。
  7. 変形:尺側偏位、スワンネック変形、ボタン穴変形、オペラグラスハンドなどの指や手関節の変形を認めます。

関節症状の他にも、発熱や貧血、目や口の乾燥などの症状も見られることがあります。

関節リウマチの一般的な治療

関節リウマチは変形性関節症とは異なり、多関節の腫脹・破壊・変形を生じ、全身性の炎症を伴う難治性の疾患であるため、治療は多方面からのアプローチが必要となります。

基本的には関節リウマチを発症すると関節の病変→発症後1~2年で関節破壊の進展→動作が不自由→身体障害と進んでいきますので、動作が不自由になることで起こるADLやQOLの低下や肢体不自由をいかにして阻止するかが大事になってきます。

薬物療法によって疼痛や炎症のコントロールを行い、リハビリテーションでは筋力回復訓練、関節可動域訓練、歩行訓練などを行います。

関節リウマチの鍼灸治療

関節リウマチの患者さんの3~10%の方が鍼灸治療を受けているとされています。そのほとんどが病院での治療と併用されています。

鍼灸治療は関節の疼痛・腫脹などの炎症症状の抑制、また関節の変形に伴い筋、人体への異常な負担が伴いその結果発症する軟部組織の疼痛管理を目的として行われます。

また発熱や貧血など全身状態の維持管理を目的として東洋医学的なアプローチを合わせて行っていきます。