手のしびれについて(胸郭出口症候群)

胸郭出口症候群とは首から出ている腕神経叢と鎖骨下動脈から構成される神経血管束が頚部から腕に移行する走行路で圧迫または締め付けを受けることで、しびれや痛みなどの神経血管症状を発症する疾患の総称です。

20代から30代の女性に多くみられます。男女比は1:2~3で女性に多いです。なで肩やまる肩(女性では普通の体型ないしはやせ型の人に多い)の体型の方になりやすい傾向にあります。

胸郭出口症候群の症状の特徴

痛み・しびれ・だるさが三大症状です。

うなじ、首、胸背部、腕などの痛み、こり、だるさ、腕から指先にかけてのしびれ、腫れぼったさ、冷感などが生じます。

そのほか、顔のしびれ、発汗異常やめまい頭痛などの自律神経症状も胸郭出口症候群では起こることがあります。

手のしびれをきたす疾患としては他には頚椎椎間板ヘルニアなのど頚椎疾患や手根管症候群などもありますので検査などで鑑別する必要があります。

症状の悪循環は
姿勢の不良⇒首・肩の筋緊張⇒疼痛⇒筋攣縮⇒循環障害と進んでいきます。

胸郭出口症候群の原因

首から肩にかけての神経や血管の通路にはいくつか狭くなりやすいところがあります。どこが狭くなって神経や血管を圧迫しているかが重要になってきます。

原因としては

  1. 頚肋症候群
  2. 斜角筋症候群
  3. 肋鎖症候群
  4. 過外転症候群

が挙げられます。

頚肋症候群

下位頚椎(主に第7頚椎)の奇形によって起こります。

斜角筋症候群

前斜角筋と中斜角筋との間を神経血管束が通りますが、その通り道が狭くなりしょうじょが出ます。

肋鎖症候群

鎖骨と第一肋骨との間で神経血管束が圧迫されます。リュックサックを背負ったりすることで症状が悪化します。また鎖骨骨折などの外傷後に発症することもあります。

過外転症候群

小胸筋直下を通って腋下に至る部分で神経血管束が圧迫されます。手を挙げて仕事をする人に多いです。

胸郭出口症候群の一般的な治療

治療としては痛みの悪循環をどこかで切ることになります。

基本的には痛みを抑えるための鎮痛剤、神経の血流を促進するビタミン剤などを服用、ブロック注射などをして3か月間は経過を見ながら保存療法を行います。

これが無効で日常生活動作や職業に支障のあるものは手術療法を考えます。

腕を上げで保持するような仕事の多い職場の方は、その職場の適性の再検討と職場転換なども視野に入れなければならないこともあります。日常生活では規則的な生活と精神的なストレスの解消をしていきましょう。

非常に重要なのは姿勢の改善になってきます。巻き込み肩、肩下がり、下あごの突出しなどの不良姿勢を矯正していくことです。
⇒猫背矯正

また、肩の棘上筋(特に上部僧帽筋)の筋力増強運動をし、斜角筋のストレッチを行っていきます。

入浴やホットパックもかなり有効です。

胸郭出口症候群への鍼灸治療

鍼灸治療では胸郭出口症候群の原因となっている部位への血流改善、鎮痛効果を狙っての治療をしていくことになります。

その経穴(ツボ)の代表例は

扶突(ふとつ)
天鼎(てんてい)
屋翳(おくえい)
中府(ちゅうふ)

などになります。