チックについて
チックとは、本人の意思に関係なく、突発的・急速・反復的・律動的・常同的な運動あるいは発声が2週間以上続くものをいいます。
ほぼすべての種類のチックは、ストレスにより増悪し、集中になり減少し、また通常は睡眠中にも顕著な消失や減少がみられます。
チックの症状
チックは症状によって「運動チック」と「音声チック」とに分けられます。
さらにチックはそれぞれ「単純チック」と「複雑チック」とに分けられます。
運動チック
運動チックで有名なものはまばたきです。そのほか芸能人のビートたけしさんのものまねでやる首を傾けたり、肩をすくめたりするのも運動チックにあたります。
単純運動チック
単純運動チックでは、まばたきがもっとも多く、その次に多いのが頭を振る動作となります。この2つで初発症状の60~70%を占めます。
そのほかの症状としては肩をすくめる・口角をひく・顔をすくめる・鼻をぴくぴくさせるなどといったものがあります。
複雑運動チック
複雑運動チックは顔の表情を変える・跳ねる・触る・じだんだを踏む・物のにおいをかぐなどがあり特殊な症状として人の動きをまねたり、卑猥な動作をするといったことをします。
発声チック
発声チックは声を出そうとしていないのに急に声がでてしまうものです。発生チックについて周囲の理解がないと急な発声によって驚かれてしまうことがあります。
単純発声チック
単純発声チックでは、コンコンと咳ばらいをするのが最も多くみられます。そのほか突然に単純な音声(アッ・パー・ホーなど)・豚のようにうなる・鼻を鳴らすなどが一般的な症状となります。
複雑発声チック
複雑発声チックでは現状に合わない単語を繰り返したり、人のいった言葉を繰り返したり、自分自身の言葉を繰り返したり、汚い言葉を発するなどといったことがあります。
チックの発症頻度
チックは3歳以前に発症することは殆どありません。また、思春期以降に初発することもないといわれています。
発症年齢は3~13歳で、とくに4~9歳の間に多く発症し約90%を占めています。
男女比では2~3.7:1で男性に多く発症します。
発症頻度は10,000人に4~5人という報告があります。
チックの一般的な治療
チックに対する治療は、従来より精神療法・行動療法・催眠療法・薬物療法などが試みられています。単純チックの場合は簡単な暗示や周囲があまり神経質気にせず緊張や不安をやわらげ、本人に対してチックをやめるように強制しないようにすることが治療となります。
Tourette症候群に対しては、薬物療法の有効性が高く、第一選択薬としてはドーパミン抑制作用のあるハロペリドールやピモジドが有効ですが、完治までには至らないこともあり、過鎮静や抑うつなどの副作用に注意する必要があります。
チックの経過と予後
一過性チックでは1年以内に、長くても思春期までには消失します。
慢性チックやTourette症候群は、経過が長引く傾向にあります。
慢性チックは思春期に増悪することが多く、思春期を過ぎると減少、消失することが多いです。
Tourette症候群も慢性チックと同様に思春期に増悪しますが、思春期以降も続き、青年期や成人期に入ってから良くなることが多いです。
チックの東洋医学的な見方
チックは東洋医学的には病名はありません。しかしチックは肝との関連が深いとされています。
肝の主な働きは「疏泄」と「蔵血」であり、「肝は筋を主ります」。肝は精神と関連する気の流れや、筋肉の動きなどを主っている考えられています。
また情動との関連も深く、精神的ストレスによる影響を肝は受けやすいです。
肝の失調により過剰なまばたきや筋の不随意運動が起きると考えられています。
弁証としては「肝鬱気滞」「肝血虚」「肝陽上亢」「肝陽化風」が臨床上多く見られそれぞれの弁証に適したツボを選び鍼灸治療を行っていくという流れになります。