頭痛
頭の痛みは大半の人が経験したことのある症状であり、ほかの痛みと同様、最も耐え難い症状の一つです。そして、脳腫瘍、くも膜下出血、髄膜炎などの緊急の処置を必要とするものから、風邪や二日酔いなど特に診療を必要としないものまで、いろいろな原因によっておこり得ます。
その中には急に始まる激しいものもあれば、数週間から徐々に進行するものもあります。また、何年も前から常に頭のにぶい痛みを訴えるものもあり、病歴が重要となります。
頭痛の原因は?
頭痛の原因は大きく分けて2つあります。
1つめは、くも膜下出血・脳腫瘍・髄膜炎などの脳の病気が原因でおこる症候性頭痛(急性頭痛)です。
2つめは頭痛自体が病気である機能性頭痛(慢性頭痛)です。機能性頭痛は症候性頭痛(急性頭痛)とは違い。MRIやCTなどでの脳の器質的な異常は認められません。
症候性頭痛(急性頭痛)
症候性頭痛の特徴としては急激な激しい頭痛が起こることです。
頭痛と伴に視界が狭くなる、口のしまりが悪くなる、手足がしびれたり、動かなくなる、呂律が回らない、吐き気がするといった症状があらわれます。
重篤で緊急を要する脳疾患の場合もありますので、早急に医療機関に受診しなければなりません。
機能性頭痛(慢性頭痛)
機能性頭痛は脳疾患などの原因となる疾患のない頭痛です。多くの頭痛が機能性頭痛です。頭痛の程度がひどいと何か重篤な問題があるのではと心配になる方がおられますが、機能性の頭痛は直接命にかかわるようなことはありません。
しかし、頭痛によって日常生活が満足に送ることができなくなるという点では、治療をする必要性を感じます。
機能性頭痛の代表的なものは次のものになります。
- 緊張型頭痛
- 片頭痛
- 群発頭痛
緊張型頭痛についての解説
緊張型頭痛は頭痛を起こす人の中では最も多い頭痛となります。全頭痛の症状の70~80%が緊張型頭痛いわれています。男女比は1:6で女性に多いです。いわゆる首コリ頭痛というやつです。
緊張型頭痛の特徴
発症はいつになく始まり、だらだらと続きます。月に数回、ひどい人では毎日のように起きます。
頭痛の出る場所は頭全体、後頭部、側頭部、前頭部などに起こります。90%は両側性に起こります。
症状は頭を締め付けられる、押さえつけられる、頭重感、ハチマキを締めたような、帽子をかぶったような感じが出現します。
随伴症状としては肩こり(73%)、頚部痛(36%)、吐き気(18%)、めまい感(14%)、揺れている感じ(7%)が出ることがあります。
習慣的なうつ向き姿勢や頸椎の異常、枕の高さなどが合わないことで起こる肩こりや首こり(46%)、睡眠不足または睡眠過多(46%)、疲労過度(42%)、」環境変化(40%)、激しい運動(6%)などが誘因となります。
首や肩を温めたり、マッサージをすると軽減することが多いです。
緊張型頭痛の原因
緊張型頭痛は身体的または心理的なストレスによって引き起こされる頭や首や肩の筋肉のスパズム(過緊張)によっておこるものと考えられています。
頭・首・肩にかけての筋肉が緊張して血行が悪くなると疲労物質や発痛物質が筋肉に溜まり、神経を刺激することで痛みがおこります。
同じ姿勢を続けたり、スマホ、眼精疲労などがきっかけで頭痛がおこりやすくなります。
一度頭痛がおこると、痛みによって筋肉の緊張や血流の悪さがますますひどくなるため頭痛が悪化するという痛みの悪循環に陥ります。
緊張型頭痛の一般的な治療
緊張型頭痛の一般的な治療は鎮痛薬や筋弛緩薬が用いられます。
鎮痛薬は非ステロイド系の鎮痛薬が用いられます。バファリン・エキセドリンナロンエースなどの市販薬も使われます。
筋弛緩薬はミオナールやテルネリンが用いられます。
心理的なストレスや不安が誘因と考えれられる場合は、デパスやセルシンなどが使われますが、依存性もあるため服用には注意が必要です。
片頭痛ついての解説
片頭痛は緊張型頭痛に次いで頭痛の原因で多い疾患です。
思春期から60歳代と幅広い年代で起きます。特に30歳代が最も起こりやすくなります。男女比は1:4で女性の方が起こりやすいです。親子で片頭痛もちということも多いです。
片頭痛の特徴
症状はこめかみから目のあたりにかけておきます。脈打つようにズキン、ズキンとと痛みます。
随伴症状として吐き気や嘔吐、光や音に過敏になったりします。
頭を振ったり、体を動かすと頭痛がひどくなります。
片頭痛の原因
片頭痛の原因は脳の血管が関与しているといわれてます。
脳の血管が収縮ー拡張に伴って炎症が起こり、周りの神経が刺激を受けることで頭痛がおこります。
誘因はいろいろあり、ストレスやホルモンバランスの乱れ、アルコールやチョコレートなどの食品がきっかけとなることが多いとされています。
神経質で緊張しやすく抑うつや不安傾向が認められる場合が多いとされています。
片頭痛の一般的治療
片頭痛にはトリプタン製剤・鎮痛薬・エルゴタミン製剤を用います。
吐き気を伴う場合は吐き気止めの薬も使います。
頭痛の頻度が週に1回以上出ている場合は予防薬として血管収縮剤・カルシウム拮抗薬・β遮断薬を服用することもあります。
トリプタン製剤は片頭痛の原因となる頭の血管に作用して異常に拡張した血管を収縮させるとともに炎症を抑え、痛み物質が出るのを防ぐ働きがあります。
群発頭痛につての解説
頭痛の中では最も痛い頭痛です。頭痛が起こると1~2か月連日のように群発します。男性の方が女性より多く発症します。
症状は片側の眼、目の上こめかみがえぐられるような激しい痛みに襲われます。
随伴症状としては涙、鼻水、目の充血などがみられます。
顔面の知覚を司る三叉神経に原因があるのではないかといわれています。
アルコール、喫煙、ストレスなどが誘因となります。
頭痛を自分で改善するためには
自分の頭痛の原因と誘因を知り改善することが大事となります。
過労を避け休養を入れる、規則正しい生活を心がける、十分な睡眠をとる、ゆとりある生活スケジュールを立て体に無理がかからないようにします。
頭痛が出た際は緊張型頭痛の場合は首筋や頭の後ろの方を温めるようにすると症状が緩和します。
逆に片頭痛の際は首筋を冷やすと症状が緩和することが多いです。温めると悪化します。
頭痛の鍼灸治療
頭痛の鍼灸治療は西洋医学的なアプローチと東洋医学的なアプローチに分けられます。
西洋医学的アプローチ
首や肩の筋肉の緊張をとるように施術していきます。特に頭半棘筋や頭板状筋、後頭筋などを中心に鍼をしていきます。ツボとしては上天柱、天柱、風池などです。
東洋医学的アプローチ
頭は手足の三陽経脈が循行します。血や陽気はともに上にのぼりやすい性格を持ち、頭部で合流し発散します。
外邪により陽気が停滞したり、内傷により気血が上逆したりすと、熱の上昇、気血、痰などの鬱滞などにより、頭痛が起こるとさせています。
大きくは外感と内傷にとに分けられます。
寒さや、風にさらされるものを外感じるといいます。風邪などがその例です。
内傷はイライラ、ストレスや気血の虚損などにって起きます。一般的には症状が緩やかで鈍痛であることが多いです。痛みは断続的で長期にわたるものがおおく、疲れると増悪するのが特徴です。
外感の頭痛
外感というのは寒さや暑さ湿気などの環境要因が原因となっておこるものを指します。外感の頭痛には風邪などのウイルス感染によるものも含まれます。
風寒
頭から首筋にかけて痛み、悪風悪寒がします。頭を圧迫した方が楽になります。
風熱
頭が割れるように痛み、発熱悪風、顔と目が赤くなり、口の渇き、喉の痛みなどが特徴です。
風湿
頭が重く締め付けられるように痛み、体や手足がだる重く、食欲不振、軟便下痢を起こします。雨の日や湿度の高い日に症状が悪化します。
内傷の頭痛
肝陽
頭が張ったように痛みます。イライラして怒りやすく、不眠になることが多いです。精神的緊張で悪化します。
痰濁
頭から額にかけて痛みます。めまいがして目の前が暗くなったり、吐き気がしたりします。
胸のつまり、食欲不振、身体が重くなったり、体のむくみなどがみられます。
血瘀
常に同じ場所に頭痛が発生します。キリキリと錐で刺すような痛みがあります。
気虚
頭がふわっとしたように感じたり、重く感じたりします。頭痛は朝が重く、夕方になると軽くなります。過労により悪化します。
倦怠感、息切れ、脱力感、食欲不振、心悸などを伴います。
血虚
頭痛は激しくはないが常に引っ張られて刺すような痛みがあり、午後・夜に比較的ひどく、めまい、倦怠感、手足のほてり、心悸の亢進がみられます。
当院では問診をしっかり行い、西洋医学的アプローチ、東洋医学アプローチから病態を把握し、最も適したツボに鍼灸治療を行って症状を少しでも早く軽減していきます!!